第124章 純粋で明白な感情
軽い調査の会議を終え、
それぞれ自室に戻り始める。
「凛。」
自分も自室に戻ろうと席を立ったところで、
エルヴィンに声を掛けられて動きを止めた。
「何か忘れていると思わないか?」
「え、さっきの会議中の話?」
「いや、もっと前に話したことだが。」
「もっと前……?」
「……俺はもう一か月近く待っているんだが。」
作ったような悲しそうな顔を見てすぐ、
心当たりを思い出した。
「ああ……なるほど。」
「良かったよ、思い出してくれて。」
エルヴィンは凛以外の全員が部屋を出てすぐ、
ドアの鍵を閉めた。
「エルヴィン、あの……
エルヴィンの部屋の隣って
リヴァイの部屋じゃない?」
「どうした。今更だな。」
「……いや、やっぱり隣だと
色々聞こえるだろうし……今日は場所変えて」
「今日は問題ないから気にしないでいいよ。」
「……何で?」
躊躇いながらの発言は遮られ、
そっと肩を抱かれた。
「リヴァイとミケ、
今晩二人で飲みに行くらしいから。
帰りは遅くなるんじゃないか?」
「あの二人、色々言い合ってる割には
仲良いよね。」
「ああ。
ミケとリヴァイも長い付き合いだからな。」
「エルヴィンは行かないでいいの?」
「いい。
今日は君と過ごすつもりだったから。」
肩を抱いていた手はゆっくり頭に移動し、
穏やかに髪を弄ばれる。