第122章 大丈夫、大丈夫、
「……モブリット、いつの間に手錠なんて
用意してたの……?」
ベッドに身体を横たえたまま、
情事が終わってからずっと、
優しく髪を撫でてくれているモブリットに
問いかける。
「最初からあったよ。枕元に。」
「な、なんで、」
「これ、明日引き渡すことが決まってたから。
最終点検するために箱から出してたんだ。」
「……最初からあったのに、
何で私気付かなかったの?」
「いや、それは俺が聞きたいよ。」
モブリットは私の質問がおかしかったのか、
ククッと肩を震わせて笑っている。
「でも丁度良かった。
お蔭で色々楽しかっただろう?」
「普通にするのだって十分楽しいし、
気持ちいいよ?」
「……そういうことは
サラッと言うんだよなぁ……」
髪を撫でる手が止まり、
ため息交じりに言ったモブリットは
例の如く少し耳元に赤みが奔っていた。