第120章 嫉妬の続き
「……よし!ならこの話は終わり。
今日はイアンが言っていた通り、
ゆっくりお酒でも飲もう。」
不意に身体は離れ、
モブリットはベッドの下に手を入れて、
何かを探り始めた。
「モブリット、
ベッドの下に色々隠しすぎじゃない?」
「……前も言ったけど、これも、この間のも、
別に隠してる訳じゃないんだって。
温湿度環境的に、ここが保管するにあたって
一番いいんだよ。」
そう言いながら出してきた木箱の蓋を開けると、
瓶やラベルの雰囲気からして
如何にも高そうなワインが現れた。
モブリットがコルクに手を掛ける前に、
咄嗟にその手を握り、行動を阻止する。
「待った!
これ、とっておきのときに飲むやつでしょ?」
「そう、結構高かった。」
「それなら今飲むタイミングじゃないよね?」
「よく考えてみてよ。
凛と二人でお酒飲むのって、
今日が初めてじゃない?」
「……確かに。
二人でお酒飲んだことはないね。」
「だから“とっておきの時”だと思って。
初めて凛と二人で飲む記念として。」
またこの人は
こっちのきゅんとするポイントを……
これがモブリットの自然体なんだろうけど、
だからこそ胸にグッとくるものがある。
「……今また俺、
女々しいこと言った気がするんだけど。」
「うん。可愛いし嬉しいし……
一回ぎゅってしてもいい?」
「……お願いします。」
……少し赤らんだ顔も、返答すらも可愛い。
もうどう足掻いても
モブリットの魅力に絆される。
一旦ワインから手を離したモブリットに
強く抱き着き、全身をモブリットに預けた。