第120章 嫉妬の続き
モブリットはニヤついたイアンの顔を見ながら、あからさまな嫉妬心を帯びた声のかけ方をしたことを、後悔していた。
「モブリット。早速やきもちか。」
「……うるさい。」
案の定、イアンにそう言われ、
不機嫌そうな声しか返せない自分が情けない。
いつから自分はこんなに
やきもちを妬く人間になったのか……
二人はただ会話をしているだけじゃないか。
そう自分に言い聞かせても、
なかなか悶々とした感情が
拭い去れないから厄介だ。
「凛。
また司令が近々飲みに誘うと言っていたよ。」
「本当に?嬉しい!
来週駐屯兵団に行く用事があるから、
その時にでも計画立てられたらいいなぁ。」
「その日、何日か分かる?
司令に凛が来ること伝えておくよ。」
「ありがとう。ちょっと待ってね、
予定表、今持ってるから……」
「ん、大丈夫。」
凛の手元から落ちそうになった書類を
イアンが受け止め、
その状態で予定表を一緒に見ている訳だから、
必然的に二人の距離は縮まる。
……ちょっと近すぎないか?
と言うか、この二人、この間が初対面だった割に
仲良くなるのが早すぎないか?
普通、こんなものなのか?
……ダメだ、ますます自分が惨めになる。