第119章 相談相手は恋敵
これはやはり、なかなか手強い相手が
恋敵に加わってしまったな……
厄介だと思う感情も勿論あるが、
凛がそれほど魅力的だと
認められていることが、嬉しくも感じる。
複雑な感情ばかり湧き上がるのは
今に始まったことではない。
モブリットに偉そうに語っている自分だって、
まだ色々な葛藤の最中だ。
それでも
“凛以外考えられない”
その気持ちは確実にモブリットと同じだ。
「モブリットが
こんなに厄介な恋敵になるとはな……」
「団長にそう思っていただけるなんて、
身に余る光栄です。」
「それは俺を挑発しているのか?」
「……挑発、はしていませんが、
牽制くらいはしたいです。
団長相手に出来る気はしませんが……」
「いいな。
だいぶ君と言う人間の本質が見えてきた。
やはり俺は今のモブリットが好きだよ。」
上官相手に牽制しようとする野心を持っているくせに、俺の発した“好き”という言葉にでさえ容易く赤面してしまっているモブリットを見ると、凛がモブリットに傾く気持ちにも頷ける気がしてくる。
彼は俺ともリヴァイとも、まるで特性が違う。
……凛は何を基準に
恋人を選ぶのだろうか。
これはますます
気を引き締める必要がありそうだ。
ありがとうございます、
と呟くモブリットの肩をふざけて抱いてみると、
より一層顔が赤くなるモブリットを
からかいつつ、
密かにこれからのことを思案していた。