第115章 熱のせい
“強情”
凛の呟きを頭の中で復唱する。
そうだ。そう言われても仕方がない。
だが、それが悪いことだと思っていない。
自分が体調を崩したのは自分のせいだ。
自分でなんとかするのが当然だ。
「いつも一人でどうにかできていた。
他人の手を煩わせるまでもない。」
……少し強い口調に
なってしまったかもしれない。
横目で凛の様子を窺うと、
予想外に穏やかな表情をしていて
図らずも凛の方へ向き直った。
「それは
“いつも”のエルヴィンの話でしょ?
今は、ここに私もいる。」
髪をくしゃくしゃと撫でられ、
自然と視線は下を向いた。
「私も普段からエルヴィンに
いっぱい頼ってるのに、
頼られない方が辛いよ。」
「……君に迷惑も負担も掛けたくない。」
「ありがとう。
でも、迷惑だとも負担だとも
思ってないから大丈夫。」
穏やかな表情と比例した、
優しい声だった。
思わず目を瞑って聞き入ってしまう。
「エルヴィンだって、私が頼っても
迷惑なんて思ってないでしょ?
それと同じだよ。」