第114章 次回のお楽しみは技巧の訳の実験品
朦朧とする意識の中で、
頬に冷たい感触が伝わる。
「……凛。一応意識はある…かな?」
「………ん。ギリギリ、ね……」
頬に当てられた水に濡れたタオルを受け取り、
徐に瞼の上に置いて、深く息を吐いた。
「まだ時間大丈夫?朝の自主訓練、行く?」
「今日はいいよ。……まだ凛と居たいから。」
不意に私の頬を撫でたモブリットの指先は、
ひんやりとした感触を帯びていた。
気持ち良くて、
思わずその手を素早く捕まえる。
「ごめん……、
ちょっと本当に乱暴にし過ぎた……」
「私が言い出したからね。大丈夫。」
モブリットの表情は見えないが、
きっと酷く反省したような顔を
していることだろう。
手を伸ばしてみると、その意味を察したように
モブリットの頬の感触が指先に表れた。