第112章 目覚めた先の嘘
目を覚ますと、
見慣れない花柄の壁紙が貼られた壁が
目に留まる。
……ここはどこだ?
ふと視線を反対に向けると、
ベッドに座り、
文庫本を片手に持ったモブリットさんと
視線が合った。
「ジャン。良かった。」
「……ここ、どこでしたっけ?」
「そう言うってことは、
やっぱり昨晩は起きてない
ってことで良いよね?」
「……え。何の話ですか?」
「いや、こっちの話。」
どこか安心した表情にも見えるが、
質問の意図が理解できずにいると、
モブリットさんは再び口を開き、
この状況の説明をしてくれた。
「なるほど……
ちょっと思い出してきました……」
「意外だったよ。
そんなにお酒に弱いなんて。」
「……女遊びしてても、
酒や煙草には手出してなかったんで。」
「偉いね。兵士として、少し見直したよ。」
「……すみません。迷惑かけてしまって……
もしかして、寝ずに待ってくれてましたか?」
「大丈夫。ある程度は寝たから。」
そう言ってすぐ、
モブリットさんの視線の先を確認して、
一瞬呼吸が止まった。