第107章 言葉の力
凛は服を脱ぎきり、
布団の中に肩まで潜り込む。
幸い下着は濡れていなかったから、
脱がずに済んだ。
「脱いだ。布団にも入った。
後ろ向いてるから、
モブリットも服脱いで入ってね?」
背中を向けたままのモブリットに声を掛けるが、
反応がない。
「モブリット?」
「……ちょっと無理、です。」
「そう。ならもう我慢する必要ないから、
下着姿のまま
モブリットの前うろつくけどいい?」
「なっ、それはもっと無理だ!」
「でしょ?だから早く。」
返事はないし、
ここからはモブリットの様子は見えないが、
きっと諦めて服を脱いでいる最中だろう。
衣擦れの音が聞こえてきて、安心する。
またすごく強引なことをしてしまったけど、
こうでもしないとモブリットは
濡れた服のまま一晩過ごすことになるだろう。
そっちの方が頂けない。
モブリットに余計な病気をさせたくない。
そもそも優秀な副官に風邪を引かせるなんて、
秘書としてもあるまじき行為だ。