第107章 言葉の力
「湯船があるホテルもあるの?」
「ああ。でもここよりだいぶ
壁に近い場所だけどね。
そこなら温泉が湧いているところもあるから。」
「温泉!」
明らかに快活になった凛の声を聞くと、
顔が緩んでしまう。
「……行ってみたい?」
「いつか連れて行ってくれる?」
「いいよ。一緒に行こう。」
「やった!」
普段普通に生活している上で、
凛のこんなはしゃいだような笑顔は
絶対に見られない。
こんなに可愛い顔を、
仕事をしている場面しか見たことのない
兵士が見たら、
簡単に凛に落ちる気がして仕方ない。
この顔を見られるのが、
自分だけだったらいいのに……
なんて、独占欲丸出しの願望が、
どうしても湧き上がってくる。