第106章 嫉妬の細波
「ジャンには俺が付き添うよ。
凛は基地に戻ってて。」
「え、でもモブリット明日仕事でしょ?」
「さすがに仕事が始まるまでには
起きるだろう。
起きてしまえば、後は馬車に任せて
訓練兵団基地まで送ってもらえばいいし。」
「いや、でもそれだったら
モブリットちゃんと眠れないじゃん。」
モブリットのことだから、
きっとジャンが目を覚まして
ホテルから見送るまで、
ずっとジャンを監視しそうな気がした。
モブリットの責任感はそんな行動をとるには、
余裕なくらいに強い。
「問題ないよ。適当に仮眠取るし。」
「なら私も一緒の方が良くない?」
「……三人で同じ部屋に泊まるってこと?」
「……マズイ……かな?」
「どう?今の俺も凛も、一晩起きてて
何もしないでいられると思う?
……俺はそんな自信、
場合によっては簡単になくなるけど。」
モブリットが呟いた言葉に強く同意する。
いや、むしろ私の方が
仕掛けてしまいそうな気しかしない。
……でもモブリットだけが
この状況の責任を取るなんて納得できない。