第105章 デートの行方
「自分に好意を抱いてくれてる男の中から
1人に絞ると、
他の男を落胆させることになる。
そうなるのが申し訳ないと思ってるから、
核心に迫るのが怖いんだろ。」
不覚にも、自分の本質を突かれた気がして、
思わず息を呑む。
まさかジャンがそんな鋭い着眼点を
持っているとは思わなかった。
「俺からしてみれば、
そっちの方が嫌だけど。」
「……そうだろうね。」
「分かってんなら、
もう一人に絞ればいいだろ。」
「……私、ほんとに分かってんのかな?」
「知らねぇよ。俺に聞くな。」
ぶっきらぼうな答え方だが、
ジャンの頬は完全に緩んでいた。
「ジャン、ちょっと面白がってる?」
「面白がってるわけじゃねぇけど、
いっつも冷静な顔してる凛が
あたふたしてるの見るのは悪くないな。」
「……いっつも冷静、でもないけど。」
「俺の前では基本凛は冷静だったけど。」
そう言われて思い返してみるが、
特にそうだった記憶が自分にはない。