第3章 地平線の見える丘で
兵長の熱い先端が入り口に当てがわれると、まるでキスをする時のような水音が耳に滑り込んだ。
互いのエッチな液を潤滑剤にして硬くなった彼自身が一気に差し込まれる。
『あ……ん、ぁあ…っ!』
苦しげな息を漏らす私に兵長は羽毛のように軽いキスを落とすと、奥を味わうようにして腰を揺らした。
気持ちいい。
でもそれ以上に……ああ、この感情は何て表現すれば良いんだろう。
「……?」
ひとつに繋がったままで静止した兵長は驚いた顔で私を見下ろしていた。
それは過ぎ去りし日の私にとても良く似ていて。
“どうしたんだ”
“何が悲しいんだ”
焦りさえ見て取れる兵長の顔からそんな言葉がヒシヒシと伝わってくる。
『……私、』
「痛かったか……?!」
『いえ、ただ……何て言うか…嬉しくて……兵長とこうして愛し合えるのが、凄く』
涙声で辿々しい言葉を紡いでいると、突然兵長の身体が覆い被さってきた。
苦しい程に私を抱き締める彼の腕は少しだけ震えている。
「あまり驚かせるな……俺はお前の涙に弱いんだよ」
『ごめ、ん……なさい』
「謝罪はいい。その代わり今度は色っぽい声で泣け」
『……バカ』
この後、明らかに普段より激しかった兵長のおかげで私は再び涙を流したのだが……それはまた別のお話。