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【ハイキュー!!】青息吐息の恋時雨【短編集】

第26章 月が(赤葦京治)







月が 追いかけてくる




夜空に浮かんだ月が追いかけてくる

緩く上がったあのトスが
そのまま宙に留まってしまったような
丸くて孤独な月が

どこで夜空を見上げても
同じ位置にぽっかり浮かんで
此方をじっと見つめてくる

逃げても逃げても 追いかけてくる

それが何故だか目に余るので
ならばと
月に向かって歩いていくと
今度は月が逃げていく、ように感じる

こちらが追いかけると 月は逃げて

追いかけても 追いかけても
一向に距離が縮まる気配はなくて

どうして 此処まで気になるのかと
どうして 近づくことも 逃げることも許されないのかと
夜道で独り藻掻いた後に

月は、ここから酷く酷く
遠い場所にあるのだと
気付いたのです。でも、


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