第2章 1話 再開のスターティングブロック!!
「えぇ!!」
瞬間、渚の悲痛な叫びがこだまする。
「何で何で?!高校入ったらまたハルちゃんと一緒に泳げるのを楽しみにしてたのに。」
「いつまでも子供じゃないし、小学校のときみたいにはいかないんだよ。」
「ハルちゃん…」
「まぁ、でも競泳はしないってだけで水は好きだよ。ハルは水無しでは生きていけないから。夏は海で泳ぐし、今日だって朝から風呂場で水につかってたしね。」
「遙が水を嫌いになったら病院に連れていかないとって焦るし…。風呂が壊れたときの遙はすっごく機嫌悪かったなぁ。」
真琴と昴の弁解に渚は疑問をぶつける。
「それって水泳と関係なくない?ただのお風呂好きじゃぁ…?あ!だったら温泉部とかいいんじゃないかな!つくろうよ温泉部!!」
「湯あたりするからイヤだ。」
突拍子もないことを考え出しては必死にせがむ駄々っ子気質の渚。今だって温泉部という訳の分からない部活に対して遙の肩を揺すぶっている。真琴はその様子を見ていつもよりも優しい顔になった。
「(渚はほんと変わらないな…)」
思わず笑うと昴はニヤリとした顔をして真琴を見上げた。
「懐かしくなったの?」
「…そうだね。」
視線を感じてそちらの方に目をむける。何処かで見たことのある長い赤い髪。その少女は真琴と目が合うと何故か軽くお辞儀をした。昴は目ざとく見つけて驚いた顔をして言った。
「あの子…」