第5章 〈紫〉のイルミネーション
「あ……」
「ん? なにー?」
ちんと同じく上を見ると、ベンチの後ろの木のイルミネーションが光ってた。
……今日のちん、いつもと違って調子狂う。
目キラキラさせて、女の子の顔しちゃってさ。
「……ねぇ」
「ん?」
「……何でもない」
「ふーん」
ムキになって、さっと手を繋いでそっぽ向く。
少ししてから握り返してきた。
手ちっちゃ。
……ドキドキする。もーどうしてくれんのこれ。
「敦」
「なに?」
「……好き」
横目で見たら、ちんもそっぽ向いてた。
なにその可愛さ。
「知ってるし」
「うん」
「……オレも好き」
「知ってる」
「うん」
……オレたちの気持ち、このイルミネーションみたいに移り変わったりしないよね?
ずっと、ちんはオレのものでいるんだよね?
「……メリークリスマス」
「……メリクリー」
お互いずっとそっぽ向いてたけど、手は繋いだまま。
クリスマスもイルミネーションも、前より好きになれた。
・。・。Mary Christmas・。・。