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タイムマシンは幸せの鍵【銀魂】

第16章 火傷


『ただいまー』

家の奥に私の声が響く。
それに応えてくれる声はまだなかった。

『…まだ帰ってこないか』

いつもより遠くのスーパーへ行ったためか、後少しでいつもの夕飯の時間になってしまう。

『やばいやばい!』

急いで台所へ直行すると、エプロンを腰に巻いて夕飯の支度をはじめた。

トントントン…

静かな部屋にまな板と包丁のぶつかる音だけが響く。

『なんかこの家…静かだと寂しいな』

今晩のおかずは神楽ちゃんの大好きな唐揚げ

部屋中に油の匂いが立ち込めた。

『…あと3日』

脳内で源外さんとの会話が再生される。

考えなきゃならないことが沢山有りすぎて私の頭はもう既にキャパシティオーバーだ。

土方さんや総悟、それから銀さんのこと。

銀さんには土方さんを選べと言われたけれど、それじゃあ私の気持ちがスッキリしない。
ちゃんと自分で考えなきゃ駄目だ。

それでも…
残された時間は少なくともあと3日。

ここに残るか…元いた場所へと帰るか。

『あ…つぅ!』

不意に沸き立った油が私の手の甲へ跳ねた。

『あづづづづ!』

余りにも急な出来事に頭が回らず、その場で飛び跳ねるように床を踏みつける。

その時

「何してんだすぐ冷やせ!」

え…?

背後からこの場に居るはずも無い人の声が私を怒鳴りつけ、そのまま腕を掴んで水道へと導いた。

『…いつ帰ってきたの?銀さん』

銀時「はぁ?」

声の主は呆れたように私を見つめ、ため息をついた。

銀時「ついさっき帰ってきたばっかだよ。ったく何回呼んでも気付かねェのな。今だってお前の後ろで水飲んでたってのによ…」

『あ…ごめん。考え事してたから…』

銀時「考え事?」

『あ!大したことじゃない!大丈夫』

銀時「ふーん…」

疑うような顔をした銀さんは、目を細めて私を一瞥するとそのまま私の指先へと視線を移した。

なんとか誤魔化せた…

あれ?

『…』

ゆっくりと今の状況を思い出す。

火傷した私の腕を掴んだ銀さんは私の背中に覆い被さるようにして立っている。
顔のすぐ隣には銀さんの珍しく真剣な顔。
耳に少しだけかかる銀さんの吐息…

『…っ!もういい!』
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