第14章 真実
『ゲート…』
源外「俺ァ完成したコイツを使って試しに未来に飛んでみようと適当な数字をぶち込んでみたのさ。だが、ゲートを開くところまではうまく行っても俺を飛ばすことは出来なんだ」
『つまり?』
源外「コイツァ失敗作だってことよ」
『でも、人を飛ばすことが出来ないなら私をここに飛ばすこともできないんじゃ…』
私が率直な意見を述べると、源外さんは持っていた湯呑を静かに置いた。
源外「コイツで時間を跳躍するには、行きは飛んで帰りは落ちるのさ」
『…』
嫌な予感が背筋を通り抜ける。
源外「故意に飛ばそうとしたわけじゃねェ。嬢ちゃんは閉じる前のゲートに足を突っ込んだんだよ」
『やっぱりかぁぁぁ!』
つまり何…
きっかけは源外さんだとしても、原因は私にもあったってことで…
『あああ…』
源外「そう気を落とすんじゃねェよ嬢ちゃん」
『?』
源外「よっ…と」
勢いをつけて立ち上がった源外さんはニカッと笑った。
源外「結局、嬢ちゃんがここに来る羽目になったのは俺の責任だ。嬢ちゃんが戻りてェってんなら俺が元いた時代に戻してやらァ」
そう言うや否や部屋の奥からズルズルと大きな機械を引きずり出す源外さん。
『それは?』
源外「これは改良したタイムマシンだ。コイツがあれば嬢ちゃんを戻せる。だが、コイツァでかい図体の割に繊細でなぁ。人を飛ばせるのは1回ぽっきりだ」
『…』
源外「それに、戻るにしろ戻らないにしろ…条件がある」
『条件…』
源外「こっちの世界にとっちゃ嬢ちゃんは異物。今は何とか保っちゃいるが次第にこの世界のバランスは崩れ始める」
『…』
ここまで聞いてしまえば後の言葉は大体予想がついた。
そもそも、有りがちな設定には有りがちなオチが付き物だ。
源外「バランスを保ち続けるためのカラクリを作ることも出来るが、もし仮に嬢ちゃんがここに留まるなら元いた世界での嬢ちゃんの存在は白紙になる。だがそれは戻ることを選んだとしても同じだ」
『…私が戻ればここの世界の人の記憶から私が居なくなる』
源外「…そういうこった」
台詞の半分を受け取ると、源外さんは目を伏せた。
『ここの世界は…後どれくらい持ちこたえられるんですか?』
せめて少しだけでも猶予が欲しい。
けど、現実は私に対して少しだけ厳しかった。
源外「今日を入れてあと3日だ」