第6章 人のものってなんだか魅力的
『え…』
銀時「オイオイ何勝手なこと言ってんだ。バカですかコノヤロー。寝言は寝てから言うもんだ」
銀さんが私の頬に添えられた土方さんの腕を掴む。
沖田「どうしやした土方さん。なんでィ、もしかしてそこの女に惚れたってんですかィ?」
総悟が余裕の笑みで土方さんにカマをかける。
だが、その笑みは長くは続かなかった。
土方「そーだな」
銀・沖「は?」
ソーダナ?ナニガ?
土方「俺ァコイツに惚れた。だから野郎の元に置くくらいなら真選組に引き抜きたい。これで納得か?」
総悟の顔から笑みが消え、土方さんがフッと薄く笑った。
『…え』
私は未だに状況がよくわからない。
土方「なぁどうだ?」
『!』
土方さんが顔をグイッと近づける。
唇の距離残り数センチ。
吐息がかかり、私の脳は痺れて上手く働かなくなっていた。
『え、あの…わ、たし…』
土方「ん?」
『…っ』
目を細める土方さんは妙に艶やかで息が詰まった。
その時
銀・沖「オイ」
総悟が土方さんの腕を掴み、私の体を銀さんが片手で抱きかかえた。
沖田「いい加減にしろ土方ァ」
土方「なんだ総悟。テメェもコイツに惚れてんのか?」
ギリっと歯軋りをする総悟に土方さんが口の端を吊り上げる。
銀時「…さくら、けーるぞ」
『え…っ?』
銀さんは私の腕を掴むと、有無を言わさずズリズリと私を引きずって行く。
『ちょ…っ、銀さん待って!』
銀時「…」
制止の声も銀さんには届かない。
土方「考えとけよ、さくら」
『っ!』
後ろから名前を呼ぶ土方さんに頬が熱くなる。
銀時「…」
チラリと私の顔を見た銀さんの腕は更に力強く私の腕を握った。