第6章 人のものってなんだか魅力的
時は少し遡って昨日の夕方
新八「く、苦し…」
神楽「口からコロッケがこんにちはしそうアル…」
あっという間にコロッケを平らげた銀さん達は、ぽっこりと膨れたお腹をさすりながら居間に寝転がっていた。
沖田「流石に食べ過ぎちまった…でも旦那、俺はそろそろ仕事に戻らねぇと土方さんに説教されるんで…」
銀時「あ、ああ…ゲフッ」
銀さんに至ってはもう目を開けるのもめんどくさいらしい。
総悟がいるであろう方向へ向かって手をヒラヒラと振っている。
『あ、じゃあ銀さん。私玄関まで送ってきます』
銀時「おー」
私は総悟の後ろをパタパタとついて行った。
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『総悟、今日は何か…いろいろごめん』
玄関に座って靴を履きなおす背中に声をかける。
沖田「いや、その代わりに美味ェもんが食えたんだ。ごちそーさん」
『お粗末さまでした』
つま先でトントンと地面を蹴る総悟を見ながら思う
華奢だなぁ…これで刀持って戦ってる…
元いた世界じゃ考えらんない…
そんなことを考えながら惚けていると、総悟が私の前でヒラヒラと手を振った。
沖田「どうかしましたかィ?」
『あ、いや、ちょっと考え事、してて』
私の脳内を見透かすような瞳に言葉が詰まる。
総悟はそこを見逃さなかった。
沖田「へぇ…にしては熱っぽい視線だったがねィ?」
妖艶に口の端を釣り上げる総悟。
不覚にもドキッとした。
『な…っ!ちが…』
一瞬で顔が熱くなる。
沖田「男の前でそんな顔して…襲ってくれって言ってるようなもんでさァ」
『何言っ…!』
そこから先は言えなかった。
総悟に唇を塞がれたから。
『な…』
呆気にとられて立ち尽くす私に、総悟は自分の唇をぺろりと舐めて見せる。
沖田「これで俺が本気だって分かったろ?」
『え…?』
私が何も答えられずにいると、総悟は玄関の戸に手をかけて笑った。
沖田「絶対に振り向かせてやらァ。覚悟しな」