第22章 邂逅
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あれからどれくらい時間が経ったのか。
私と翔太は子どものように泣いた。
声も枯れ、涙も枯れ始めた頃、
気づくと教会の壁が茜色に染まっていた。
『…っ、もう、こんな時間?』
未だ呼吸の整わない私。
翔太「…っ、ゔん?」
声がガサガサの翔太。
『…ふふ』
翔太「俺ら、泣きすぎな」
お互いの顔を見て思わず笑みが溢れた。
『泣くと鼻穴ぴくぴくするの変わってないのね』
翔太「やめろよ見んなよ!勝手になるんだからしょうがないだろ!姉ちゃんだって自分の顔見てみろよ」
向けられたスマホの画面に映る自分の顔を見ると、
浮腫み100倍のアン○ンマンが写っていた。
これはやばい。
翔太「はーー、疲れた。明日は多分目開かねぇなぁ」
翔太は首の関節をバキバキと鳴らすと、ベンチに戻りリュックを背負った。
翔太「姉ちゃんどうやって帰るの?」
『タクシーで来たし帰りもタクシーかな』
翔太「送ろうか?」
さらっとそんなことが言えるようになった末弟に素直に感動した。
『アンタそんなこと言えるの…』
翔太「何だよ…」
『今日1番成長を感じたわ』
翔太「ここで!?もっと色々あったよね!?色々あってのその顔だよね!?」
『はー、そうか彼女か、彼女がいるんだったな。彼女のこと毎日家まで送ってますってか、門限の10分前には送り届けますってか、けっ!なーによ、いい男じゃない!』
翔太「えぇ…情緒どうなってんの全然わかんねぇ…」
『いいですー、もう少し見てまわりたいし全然タクシーで帰りますぅ』
翔太「そっか、俺寮の門限あるからそろそろ帰るけど、暗くなる前にタクシー呼べよ」
翔太はウィンドブレーカーを羽織るとフルフェイスのヘルメットを脇に抱えて立ち上がった。
『原付?』
翔太「おう、近くの寮だからすぐだよ」
教会の扉に手を掛け、振り向いた。
翔太「姉ちゃん今日、ありがとな」
『んーん、私の方こそありがとう』
「『元気で』」