第22章 邂逅
『へ、へー!彼女ね!彼女いるんだ!ふーん…』
眼球が爆速でシャトルランしているのを悟られまいと在らぬ方を見つめる私。
えぇ、あの翔太が…?
転んですぐ大泣きしてた翔太が…?
誕生日プレゼントにタンポポくれた翔太が…?
『…ふーん』
オ○ジの気分だよー、やるせないよ…
フランクフルトから帰ったハイ○が大人びてて少し寂しい、みたいな…
てかうちのハ○ジ大人びてるどころか高校生じゃん、大人じゃん…
ってか…
私高校生の時彼氏いなかったけど?
『…』
オン○2割、敗北感8割でお送りします。
『どれ、どんな子よ…姉さんに見せなさいよ…』
にじり寄り、肩を掴む。
翔太「は!?いやだよ」
『いいから見せなさいよぉ!』
翔太「なんで血涙?!怖いよ!こっち来んなよ!」
『見せられないってことはいないんじゃないの、そうなんじゃないの!』
翔太「嘘じゃねぇよ!ちょ、おい、スマホはやめろ…!やめ…っ!」
スマホを取られそうになった翔太はスマホを天高く持ち上げた。
『くそっ、届きそうで…、届かん…っ、その反応はロック画面が既に彼女だな…ぐぅぅ』
翔太「…バケモンじゃねぇか」
呆れたようにため息をつく翔太。
『誰がバケモンか誰が!あんたこそ姉を差し置いてバケモンみたいにでかくなりやがって!何cmだ!」
翔太「184…」
『ひゃっ、ひゃく、はちじゅう…成長期め、自販機よりもデカい……』
翔太「自販機…?」
私の成長期は何をしてたのかな。
寝てたのかな。
そのままコールドスリープしたのかな。
私も自販機になりたい。
『分かったよ…写真は諦めるわ』
翔太「最初からそうしてくれ…」
あろうことかスマホの電源を落とす翔太。
何もそこまでする…?
『いいなぁ、彼女いるのかぁ。どんな子なの?』
ベンチに座り直して頬杖をつく。やけくそじゃい。
翔太も隣に座って少し考え込んだあと、
翔太「どんな子って言われると難しいけど…」
大真面目に言った。
翔太「ちょっと姉ちゃんに似てるよ」
『翔太…』
その横顔を見つめ、
『あんたそれ、写真見せるより恥ずかしいんじゃない?』
翔太「な…っ!」
顔を真っ赤にした翔太が恨めしそうに睨む。
私はその顔が可愛くて頭をぐりぐりと撫で回した。