第4章 坂田家の食卓
銀時「は?バカ何言ってんだどっからどう見ても結野アナだろうが」
神楽ちゃんのカミングアウトを華麗に無視する銀さん。
『いや、あのすいません。私本当に結野アナじゃなんですけど…』
銀時「パパラッチやマスメディアの目を気にしているんですね?ここに来たからにはもう大丈夫です!」
なんでそうなる…
神楽「だって銀ちゃん、結野アナは茶髪アル。でもこの人は真っ黒ヨ。そこのサドの腹の中ぐらい漆黒ネ」
沖田「オイ」
『そうですよ。私は黒髪ですし、結野アナとは似ても似つかないですし…』
銀時「バーカお前知らねぇの?最近の若い女の間では黒髪が流行ってんだよ。イメチェンだイメチェン。お前もそんなオレンジの髪なんてやめて黒く染めてみろ。黒髪女子になってみろ」
何で頑なに信じないんだろう。
そんなに似てる?
神楽「でも銀ちゃん、結野アナがこんなところにいる筈ないネ。だって…」
神楽ちゃんがテトテトとテレビへ近づく。
銀時「おい神楽ー、お客様がいるときはテレビつけるなって言ってるでしょうが!」
神楽「銀ちゃんだっていっつもお構いなしでつけてた癖によく言うアル」
銀時「銀ちゃん?誰それ?アイツならもうとっくに殉職しただろうが!アイツのことはもう忘れろって言ってんだ!」
ギャーギャー騒ぐ銀さんを無視して神楽ちゃんがチャンネルを合わせる。
神楽「あ、これアル」
神楽ちゃんがつけたのはお昼のニュース番組。
四角いテレビの中で優しく微笑んでいるのは
結野「今日の天気は、爽やかな快晴でーす」
紛れもない、本物の結野アナだった。
銀時「ほら見ろ!同じツラだろうが!」
銀さんが私とテレビを交互に指さして叫ぶ。
『あの、本当に私は結野アナじゃないんです。見てくださいこれ』
どうしても信じてくれない銀さんにテレビの左上を指さして見せる。
銀時「?」
そこには生放送を意味する"LIVE"の文字。
つまり…
『本物の結野アナは今、テレビの向こうにいるんです。違う場所に同じ人が二人もいるわけ無いでしょう?』
銀時「…」
そう言って見せると、銀さんは私とテレビを交互に見やり、
銀時「誰だお前ェェェェ!」
とんでもなく失礼なことを叫んだ。