第17章 夢幻
は?
銀時「え、何で…」
『銀さんが怖くて寝れないんじゃないかなーっていうのと、私が寝たくないから』
寝たくないって…
『ほら早く!』
そう言うやいなや、何処から取り出したのかノートとペンを持って立ち上がるさくら。
銀時「は?!オイ、いいって!押すな!」
『え、なにそれ。フリ?』
銀時「んなわけあるかァァァ!」
『静かに!神楽ちゃんが起きちゃうでしょ!』
銀時「…」
そのまま俺の部屋まで強制送還。
『ほら寝る!』
銀時「うぉっ」
新八が敷いていった布団に無理やり寝かされ、頭まで毛布を被せたさくらが満足げに笑う。
暑いっつの。
『銀さんが寝るまでここにいるから。あ、机と蝋燭借りるね』
銀時「…夜更かしは美容の大敵ですよお嬢さん」
『いーの。眠くないから。お昼寝しちゃったし』
銀時「…」
蝋燭に火を付け、ノートにペンを走らせる。
何だってんだ…
銀時「何書いてんの?」
『……内緒』
ペンを走らせる手が止まり、俯きがちに振り返る。
蝋燭の明かりに照らされた黒髪は、儚げに輝いた。
『おやすみ』
…
銀時「…なァ」
『ん?』
あー…
銀時「…いや、なんでも。そんじゃ寝るわ。おやすみ」
一瞬
『?おやすみなさい』
さくらが居なくなっちまう気がした。