第7章 再会は“はじめまして”
食事も終わりを迎えたころ、ヤムライハと話しているとシンドバッド王が側へ歩み寄って来た。
「女子で盛り上がっているところすまないな。」
シンドバッド王の言葉にヤムライハは静かに下がるのを横目に確認すると、シンドバッドへ顔を向けた。
「いえ…お食事美味しかったです。ありがとうございます。」
そう言うとシンドバッドはニカっと笑い、カナが座
る椅子の背に両手をかけた。
「そう言って貰えて嬉しいよ。服も良く似合ってる。欲を言えば、もう1着の方も君に合うと思っていたんだがね。」
「あ…あれは、肌を露出しすぎですっ!私には似合わなくて…。」
「そんなことないさ!君のその美しいブロンドの髪を際立たせるように、淡く控えめな物を選んだんだよ。姫君は本当に美しい女性だ。その美しさを外に出さなくてはもったいないじゃないか。」
当たり前のように堂々と言われて恥ずかしく、うつむいて赤くなる。
私はこの方に娶ってもらえるようにアピールしなければならないのに、いつの間にかペースを奪われてしまう。
…これが覇王の力なのか?
よくあんな恥ずかしいセリフを…。
しかし、フと気がつく。
…ジャーファル様に言われた時の方が嬉しかった。
この気づきは、シンドリアと煌帝国という2つの大国を揺るがす小さなヒビとなることを知る者はいない。
小さなヒビはのちに大きな亀裂へと変わる。