第4章 光が射すとき
扉が開いて、眩しい光に目を細めながら見えたのは、2人の紅い男性だった。
「…どうやら当たりらしいな。」
あごひげを生やした大柄で逞しい男性に、あの勇ましい足音はこの人だと確信する。
茫然と2人を交互に見ていると、手首に繋がる鎖がカチャリと鳴って現実に引き戻らせた。
「あぁ…えっと。カナ姫、で間違いないですね?」
痩せていて長い髪をひとつにまとめた男性が、頭をかきながら聞いてくる。
人との会話が久しぶりで声が出なかったため、頷いてみた。
「よかった、私は第二皇子練紅明と申します。こちらは第一皇子、煌帝国征西軍大総督練紅炎です。」
長ったらしい名前の中で、確かに聞こえた。
「……練?」
お父様の名前にもあった皇族の姓。その時初めて気がついた。華やかな衣服と装飾品。そうだ…彼らは。
「……し、失礼いたしました。先程からの無礼お許しください。」
鎖で動かない両腕を必死に動かして敬意の姿勢をとる。
「いいえ、そんなに改まらないでください。我々はあなたを…」
「おい女、外に出たくはないか?お前も皇女ならば、こんなところに幽閉されて文句の一つも無いわけではないだろう。」
紅明の言葉を遮るように紅炎が話しながら近づいてくる。目の前まで来ると屈んで、指で顎を押し上げられた。
「俺が貴様に世界を見せてやる。地位、生活、知識全てをやろう。俺についてこい。」
息がかかるくらい間近にある顔に、横で頭を抱えて溜息をつく紅明が目に入らないくらいカナは動揺していた。
しかし、紅炎が僅かにフラついたことに気がつくと、すぐに現実に引き戻される。
「私に近づかないでっ!!!」
咄嗟に紅炎の胸を押しのける。
しかし、すぐに状況に気づくとカナの顔は青ざめていった。