第4章 光が射すとき
「テル様は陛下が遠方へ出ている間に亡くなられたそうですが、1人姫君を残して逝かれたとか。」
「そいつが牢に居る女だと?くだらん。今の話を鵜呑みにするならばそいつは皇女だろう。母方の国にでも逃げたとは思わんのか。」
「いえ、兄王様。この話には続きがあります。十数年前、病が流行ったのを知っていますか?」
「…あぁ、だがあれは従者ばかりで本殿には何も無かっただろう。」
「いえ…その従者は全て同じ者に仕えていたようです。しかし当時私達の居る本殿以外に皇族が居たとは聞いていません。」
「なるほど。流行り病の原因は今どこに居るのかということか。」
「えぇ…もっとも、紅玉が言う友達と消えた姫君、流行り病の素になった方が同一といえる確証はありませんが、可能性はあるかと。」
紅炎は口元を緩める。
「わかった。紅明、そいつの居場所は。」
「はっ!検討はついています。」
紅炎は口元を緩ませていた。