第1章 開かない扉
煌帝国宮殿。
皇族が住む屋敷から続く誰も知らない長い廊下。
床は軋み、灯りは無い。
しばらく進むと、見えてくる古びた扉。
そこからは、毎日うめき声が聞こえるんだって…。
助けてって…。
「ぎゃー!!!」
幼い男児が叫ぶと、姫と呼ばれる女児は笑った。
「ふふふ。白龍は怖がりねぇ。」
「姉上ぇ……。」
バアアアアン!!!
突如部屋の扉がすごい勢いで開かれた。
「「ぎゃーー!!!」」
「白瑛!白龍!何時だと思ってるんだ。」
顔を出したのは1人の青年。
「白雄兄上…。」
「もう、びっくりしたではありませんか。」
幸せな時間。この後兄弟は引き裂かれ、彼が心に闇を抱くのはまだ先のこと。