第6章 「生まれ変わった後に」
不思議な訪問者
8歳の春…
見た事のない黒い制服を着た赤い髪の少女がギアステーションに来ていた
鍵のペンダントを付けている少女はぶつぶつ言いながら誰かを探すかのように周りを見渡している
私は遠くにあるベンチから彼女の様子をみていた
…というかスクールで勉強している兄達を待っているので暇なんだよね
この間駅員室で借りて来た電車の構造についての本も読み終えちゃったし
夕ご飯の買い出しも終わらせちゃったし
私はデンチュラとシャンデラを出して一緒に座っていた
暫くして
遠くの方で誰かを探していた赤い髪の子が私の方に歩いてくる
近くで見ると可愛い感じの子だなどこの学校の生徒なんだろう
「ねえ、この街に…氷空って子って居る?」
…へ?
この声どっかで聞いた事がある気がするんだけど…何処だっけ?
まあいいや
「氷空って…私だけど」
「…」
「…」
沈黙が続く
暫くして赤い髪の子が小さな石を取り出すと私の方をじっと見た
「…成る程、アリスの反応は微かにある様ね」
アリス?何それ
ポカンとしていると
「貴方の周りで何か…不思議な事が起きなかった?」
不思議な事…ああ!
「ポケモン達の怪我が触っただけで治った事やポケモンの攻撃を防いだ事があったけど」
「治癒と結界のアリスか」
赤い髪の子はニッコリ笑いかけると
「氷空さん、改めて自己紹介させていただきます!私は氷空!貴方と同じ名前です!」
宜しくと手を差し伸べられる
同じ名前の彼女はその後、私の能力の事について教えてくれた
最後に
「貴方の守りたい人の事を願って手を握ってみて」
「こう?」
私はアリス石の作り方を教えて貰った
って言っても私の力はまだ弱いから彼女に手伝って貰ってしまった
「…結構大きい石が出来たね!これをどうするの?」
「えっとこうして…出来た!はいこれ、ペンダント」
私は石のペンダントを受け取ると
彼女はニッコリ笑って
「この石はいつかどうしても必要になった時に使ってね…最後に貴方に会えてよかった」
そう言って消えてしまった
彼女のその言葉に理解が出来なかった
そして遠くの方に兄さん達が走って来るのを見かけた
彼女が何者なのか分からずじまいだったけど、いつか理解できる日が来るのかな