第4章 突き刺さる悪意
こうして私は、望んでもいないのに突然一国の姫となった。
もともと自然豊かなことが特色であったこの国が、今まで他国に侵略されずにこれたのは隣国のおかげなのだそうだ。
自然を愛する隣国の王族が、この国が争いに巻き込まれないように守ってきていたのだという。
ところがこの数十年で、隣国の王族との関係は悪化している。理由は利益重視の隣国の現国王が、この国を足手まといだと思い始めていることだと言われていた。
そして今、隣国には王子が3人いて、姫はいない。
私の父である国王には妃との間に王子が二人おり、姫はいない。
隣国の王子が年頃になった今、何とかして王子たちとのつながりを強くしたいという理由から、私は呼ばれたのだった。
そう、政略結婚のために。