第3章 城からの使者
浴室から出ると用意されていたのは紺色の落ち着いたワンピースで、身に着けた私は国王の元へと連れて行かれた。
国王……父は、数段高い王座から冷ややかな目で私を見下ろす。小柄なものの威圧的な眼差しに、身体が強張るのを感じた。
「お前のことはリオンに任せてある。
早く立派な姫となれ」
言い捨てるようにして顎をしゃくると、「頭を下げて……行きましょう」とリオンに促された。
私は震える声で「はい」と答えるとリオンに着いて行く。
父ともしも会える日が来たら、それはもっと感動的なものだと思っていた。
「寂しい思いをさせてすまない」なんて言われるかもしれない、なんて思っていた自分が本当に馬鹿だと思う。
私は父に愛されてなんていなかったんだ。
諦めと絶望が混じったこの思いを胸に、それでも私は生きていかなくてはいけない。