第4章 突き刺さる悪意
今日も朝日が差し込む城の上層階で、私の一日は始まる。
「おはようございます」
精一杯の笑顔を作って王子たちと妃に挨拶するけれど、彼らは振り向くことも返事をすることもない。
城に来て1週間、毎日こうだ。
他の人たちも、極力私とは話さないようにしているらしい。
話かけても曖昧な顔をされるだけ。
ただの田舎娘の私が、大きな顔をして城にいるなんて場違いだと陰口を叩かれているのも知っている。
「あーぁ、何でこんなとこに来ちゃったのかなぁ」
ついため息が出てしまった。
だめだめ。暗いこと考えてちゃ。
気を取り直そうとするけれど、なかなか頭が切り替えられない。可愛がっていた動物たちが脳裏に浮かんでは消える。
牧場が懐かしいよ。本当は帰りたい……。
「どうされました?ユイカ様
さぁ、今日はテーブルマナーのレッスンをしましょう」
頭から降って来たリオンの声にハッとする。
こんなことを考えてちゃだめだ。そう思うのに、気持ちがあふれ出しそうになって唇を噛む。
リオンだけはいつも、私に優しい。
例えそれが仕事だからだとしても。
……どうしよう……。
涙が、我慢できないよ……。