第14章 女王陛下に迫る決断
「まさか女王になるとはね。お前の執事やるもんだな。
それにしてもこっちが王子じゃ、嫁にもらいにくいじゃねーか。さっさと親父には引退してもらうかな」
レンは困ったように眉を下げて、それでいて面白そうな顔をしている。こんなにも大変なことになってるのに、一体何が面白いの?
唇を尖らせた私に「俺の気持ちは変わらないから」と囁いて手が触れる。あ、キスされちゃう……顔が近づいてきたと思ったら、わざとらしいくらいに大きな音で扉が開いた。リオンったら、いつもは絶対にこんな開け方しないのに。
「ユイカ様、レン王子、お待たせ致しました」
無表情のまま慣れた手つきで私たちの前にアッサムティーが注がれる。あれ、一つ多い……よね?
湯気の立つカップを怪訝そうに眺めていると、リオンが自分のネクタイに手を滑らかに取り去った。リオンが私の前で執事服に手をかけるなんて初めて。
「リオン……?どうしたの?」問いかけは無視されて、リオンはカップの前に腰を掛ける。隣のレンは当然だといった顔で紅茶に手を伸ばしている。