第3章 城からの使者
生きた心地がしない道中を経て城に着くと、今度は浴室に押し込められた。
王女付きのメイドだという女性が私の身体を洗おうとするのを丁重にお断りして、自分で洗って湯船に浸かる。
ここのお風呂は、私が住んでいた小屋よりも広い。
落ち着かない思いでため息を着くと、ガラス扉の向こうにぼんやりと影が映った。
「ユイカ様。お着替えをご用意しておりますので、湯あみが終わりましたらこちらにお着替えください」
入浴のせいで血流が良くなったせいだけじゃない。
この数時間で聞きなれた低い声に、また私の心臓は忙しくなる。
「は、はい」
慌てて声を絞り出すと、彼の気配が離れていった。
執事って一体なんなの!?
こんなことばかり続いたら、本当に私の心臓は持たない。
あんなにきれいな男の人を見るのも初めてなのに…………レンを除いては……って私、何考えてるの。
ぼんやりしてちゃダメだよね。