第13章 彼side4
マナト王子は、ミナト王子のように簡単にはいかないだろう。卑怯で情けない男だが、第一王子なだけあって王位を継ぐことのリスクは承知しているだろう。
国王の容態は悪く、もう時間もない。
俺はマナト王子の部屋へと忍び込み、眠っている王子の首にナイフを当てた。
「なっ……ひっ」
「動くと命はありません。死にたくなければ、王位を放棄して下さい」
「な、何だとっ……」
「考えている余裕はありません。あなたの選ぶ道は3つのうちのどれかです。1つ、ここで私に殺される。
1つ、私を殺し、女装趣味のある男色の王として笑い者になりながら、国を継ぐ。
1つ、王位を放棄して王子として生きる。
さぁ、選んで下さい」
軽く首元にナイフを当てわざと血を流すと、震える声で王子は言った。
「わかった。王位を放棄する」
「賢明なご判断です」
……本当に賢明だ。おかげで王子を殺めることも、部下に罪を着せることもせずに済んだ……。