第12章 私の決心と、彼の決断
王家の紋章が刺繍されたドレスに身を包み、私は城のバルコニーに降り立った。眼下には国民たちが国旗を振りながら、私たちを見上げているのが目に入る。
私はこの国民たちを守りたい。
お父様の喪が明けた今日、新王の即位式が行われる。
私の隣には王となるマナト王子が糸のような目を伏せて強張った顔をしていた。王の威厳は感じられず、大柄な身体は小さく見える。
この人で本当に大丈夫なんだろうか、と感じる姿だけれど第一王子である彼が王になるのは当然で、どうしようもない。
そういえばなぜかミナト王子の姿が見当たらない。
こんなに大切な日に、一体何をしてるの?
リオンの合図によって音楽隊によるファンファーレが鳴り響いた。低い声でマナト王子が口火を切る。
「只今より、新王の即位式を始める。前国王の意思により、ここにいるユイカを新しい王とする」
え……?今、何て……?
「女王陛下の誕生である」
えぇっ!?