第12章 私の決心と、彼の決断
「まさかそこまで王が信用して下さっているとは思いませんでした。私のようなどこの馬の骨ともわからない者を」
懐かしむような少し切ないリオンの声に考えごとを中断して問いかける。
「馬の骨ともわからない?」
「えぇ、私は孤児でしてね。子どもの頃に悪事ばかりを繰り返して冷たい塀の中に閉じ込められていました。ひどいところでしてね、食事もほとんど与えられず一日中働かされ……何人も目の前で死んでいきました。
すべてを諦めかけた時、助けて下さったのが王でした。
お前の知性は国の為に使えと言って教育を受けさせて下さり、仕事を下さいました。王には感謝しています……ですから、貴方の助けになるのなら私は何でも致します。貴方は王の最後の希望ですから」
寂しそうに微笑を湛えたリオンの顔が胸をぎゅっと締め付けて、私は息が苦しくなる。
「ごめんなさい……私もう迷ったりしない。
レンと結婚して、この国を守る。貴方の為にも」
リオンが私に教えてくれたこと、今まで守ってくれたこと、全部この国を守るためだったのに、自分の気持ちばかりを考えて……私は馬鹿だ。
迷いなんて捨てて……レンと結婚しよう。