第12章 私の決心と、彼の決断
「待って……」
弱々しい声で呟き、力の入らない腕で胸を叩いて何とか彼のキスから逃れた。
「私の事……好きなの?」
どうしても訪ねたかった事を口にすると、レンは大げさにため息をついた後真摯な表情になった。
「はぁ……本当に鈍感な女だな。
だけど、お前といると落ち着く。俺は生まれた時から王になると決まっていたから、誰にも弱みを見せないよう仮面を被って生きてきた。それが当たり前だったのに、お前に会ってから時々普通の男になりたいと思うんだ。
もちろんなれないことなんてわかってる。国を捨てるつもりなんて毛頭ない。だけど……お前にだけは、本当の俺を知って欲しいと思う……傍にいて欲しいと思う……お前が好きなんだ」
少し照れ臭そうな顔をしたレンは、私の視界から逃れるように強く抱きしめてきた。
初めての、きっと一回きりの彼の告白。
大国の王になると決まっていたレンは小さな頃から厳しい教育を受けてきて、きっと心が休まることなんてなかったんだろう。
私が傍にいることで少しでも安心できるのなら……心が休まるのなら……傍にいてあげたい……。