第12章 私の決心と、彼の決断
レンは王子は、強い力の宿る瞳でこう言った。
「俺がお前の家族になる。もう二度と一人にはしない。……結婚しよう。ユイカ」
すべてを委ねたくなる瞳に酔う自分と、こういう時だからか不思議と冷静な自分がいた。
「レンは、この国が欲しいの? だから私が欲しいんでしょう?」
「はははっ、あははっ」
突然端正な顔が崩れるのも気にせず大笑いする彼。私は戸惑って眉を寄せる。「一体、何なの?」
「悪いな。本当に、お前は馬鹿だな。この俺が、好きでもない女にプロポーズすると本気で思ってんのか? ただの牧場の娘を、指輪まで用意して迎えに行ったってのに待ってるどころか王女になんかなりやがって。
大体俺のことを甘く見すぎなんだよ。政略結婚なんかしなくても、お前の兄弟が治める国なんかどうにでもできるっての。
ごちゃごちゃ言わずに、お前は俺のものになればいいんだよ」
骨太な手で首を後ろから押さえられ、荒々しく唇が重なる。唾液が絡まって水音を立て、身体の力が抜けていくのを止められない。