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プリンセスロード

第12章 私の決心と、彼の決断


それから数日後、お父様は亡くなられた。
以前から心臓の持病を患っていたそうだが、私は全く気付かなかった。いつでも国のことばかりを考えて生きた方だった。

お父様が私へ残した言葉は「この国を頼む」
自然溢れるこの国を、お父様は本当に愛していた。

お父様の告別式にはレン王子も参列していた。
「辛い時に傍にいてやれなくて、すまなかったな」そう口にして私を抱き寄せた彼の胸は温かくて、私は涙腺の崩壊を止められなかった。

再会してからたったの半年。
決して私に優しい態度をとることもなかった父だけれど、失ってみると胸に大きな穴が空いたように寂しい。

二人きりになったホテルの部屋で、「私にはもう、誰も家族がいないんだよ」なんて泣き笑いみたいな顔で呟いてしまう。
ぼんやりと宙を見つめていると、両頬が大きな掌に包まれた。
「どうしたの……?」と、目の前20センチで静止した彫刻のように整った顔に焦点を合わせる。
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