第10章 揺れる想いと、突然の訃報
レン王子と再会したパーティーから3ヶ月が過ぎて、私は隣国を訪問していた。もちろん、あれから頻繁に会いに来てくれるレン王子からの招待だ。
婚約の発表こそまだなものの、私たちは順調に結婚へと進んでいた。
「ユイカ姫、お待ちしておりました。あなたにぜひ、我が国を見ていただきたかった。気に入って頂けるといいのですが」
相変わらずレンは、二人きりの時以外は別人のように紳士的。
洗練された身のこなしに切れ長の目と高い鼻、薄くて形のよい唇、国民たちが憧れるのもわかる。弟王子たちでさえ、本当の彼に気付いてないんだから。
だけど私は、強引で少し尊大な態度の彼が好き……。
私にしか見せない姿が好き……。
会えば会うほどに、彼に惹かれていく自分を感じる。
そんな彼を知っているのはリオンと私だけ。
何故だかわからないけれど、他の使用人には分け隔てなく優しいレンが、、いつも私の側を離れないリオンにだけは厳しい態度を取っていた。