第10章 揺れる想いと、突然の訃報
「なぁ、いいところだろう?お前は気に入るはずだ。
新しい建物ばかりじゃなくて、お前の好きな緑も、動物たちもちゃんと生きてる。俺はそういう国を作っていく。
お前は俺に、ついてくればいい」
建設されたばかりでだという国で一番高いタワーから町を見下ろす。自然が多く古い建物が多い私の国に比べ、レンの国は近代的で、他国との交易も盛んだ。
それでいて町の至るところに緑があり、機械と動物たちがないものを補い合って一緒に働いている。
素敵な国だ。
素直にそう思う。
こんな国で暮らせたら、と思う反面、自分の国を捨てきれない気持ちもある。
小さな頃から決して裕福ではなかったけれど、皆が自慢する宝石よりも花の方が美しいと思っていた。
染みついた動物たちの臭いは周囲の人々には顔をしかめられたけれど、私は好きだった。