第9章 どっちつかず
「海は穏やかに見えても何があるかわからないもの。ユイカ様、レン王子に何かあっては大変ですので、私も参ります」
リオンの声だ。
「彼はどこまでも、俺たちの邪魔がしたいみたいだね」眉をひそめて、レンが囁くから、私は耳元のレンの顔に緊張してしまう。
リオンは心配してるだけなのに。政略結婚の為の大切な姫に何かあったら大変だものね。
水着に袖を通して、焼けるような砂を踏みしめて二人が待つ砂浜へと向かう。リオンが用意してくれたのは、ワンピース型の露出少な目の水着。裾のフリルが可愛らしくて上品。
「ユイカ様、肩が日に焼けてしまいますよ。
こちらを着ていただいた方がよろしいのでは」
リオンから上着を受け取ろうとすると「今から海に入るってのに、そんなの着てどーすんの?ほら、行くぞ」と横から手を引っ張られた。
「水着、可愛いな。似合ってる」
レンがいたずらっ子のような笑顔を向ける。心臓が大きく跳ねて、私は引きずられながら走りだした。
レン、服を着ていたら華奢に見えるのに実は筋肉質。トレーニングでもしてるのかな?
引き締まってて……かっこいい。
彼から目が離せなくなった私の視線を感じてか、レンは耳元で囁いた。
「意外と胸、あるんだな。
次はもっと露出の激しいのがいいな」