第7章 彼の言いなり
「わ、私はこの国の姫で、そう簡単に誰かのものにはなら」
言いかけた唇に柔らかくて温かいものが触れる。レンの唇はそれ以上私に言葉を紡がせないよう、全てを塞いでいく。
「姫とか王子とか関係ない。 俺は牧場で会ったおまえを気に入った。 あれからたった半年で、すっかりこの国の姫ですって顔してるお前のこともな。
意地張ってないで、さっさと俺のものになれよ」
あまりにも自信家で強い瞳に、惹かれない女の子なんてきっといない。
自分の置かれている状況も忘れて、そんなことが頭に浮かぶ。
レンは私を真っ直ぐに見つめたまま
もう一度唇を重ねてきた。
今度は避ける余裕は十分にあったのに……避けられるわけがない。私の体はまるで金縛りにあったみたいに動けなかった。