第7章 彼の言いなり
この金属の厚い扉の向こうに彼がいる……。
しばらくためらった後意を決してドアを叩くと、待っていたかのように扉は開いた。
「本当に来たんだ。ま、来ると思ってたけど。おいで」
レンが薄暗い部屋が明るくなるような端正な顔の口の端を軽く上げて、優雅な手つきで私の腕を掴んだ。
「や、やめて」
自分から来たくせに、密室を前に心が怯む。
リオンの顔が一瞬脳裏に浮かぶ。こんなことして、後で怒られるだろうな……。
「何で? 俺に会いたかったから来たんだろ? 大体本当に俺がばらすと思ってた? 思ってないくせに。
それに、別にばらされた所でおまえは本当に国王の娘だろう。他人の目なんて気にせず胸を張っていればいい」
この人はどうして、ずっと私が欲しかった言葉をくれるのか、まるで私の心を見透かしているみたいに。胸に熱いものが溢れて瞳からこぼれ落ちそうで、慌てて「どうして私を呼んだの?」と尋ねた。
声は震えてないはず……。
「お前に会いたかったから。 早く俺のものにしたかったから」
目を逸らすこともなくレンは淀みなく答える。
そんな風に言われたら、本気にしちゃうよ。