第6章 再会
『1406』
煩いくらいに心臓の音が激しい。
だめだ、冷静に……。冷静に……。リオンに昨日言われた、「感情を隠すのが、少し上手になりましたね」って。
私、大丈夫だよね。
今夜の彼の居場所を知らせるたった4つの数字は、レン王子からの手紙だった。
滞りなくパーティーは終了し、ご機嫌なお父様を見送った後私は部屋で紙切れを見つめていた。
隣国の王子が泊まっているホテルは、この国で最も高級な所に決まっている。メイクと服装を変えればきっと、誰も私だとは気付かないだろう。
「ユイカ様、どうなされました?顔色が優れないような気が致しますが」
全てを見透かすようなリオンの瞳を真っ直ぐ見つめられずに、思わず目を逸らした。
「リオン……きょ、今日は疲れたの。もう休むことにします」おかしいと思われる事なんて気にしていられない。リオンを追い出して、私は準備を始めた。
でもどうして、私は行くんだろう?
レン会いたいのか、素性をばらされるのが嫌なのか……自分でもわからない。