第6章 再会
「俺に、会いたかった?
あの後牧場まで会いに行ったんだぜ。もうお前はいなかったけど」
耳元で奏でられる言葉に胸が熱くなる。
レンが私に会いに……牧場まで……本当に?
「城に連れて行かれたって聞いたから、今日会えると思ってた。 おまえが牧場で働いてた田舎娘だったこと、皆にバラしてあげようか?
……俺の言うこと聞けるよな? お姫様」
思わぬ台詞に嬉しかった気持ちは消え去って、ヒヤリと背中が寒くなる。
こんな場で私が牧場で働いていたことなんて言われたら……お父様はどれだけガッカリするだろう。
思わず彼を睨み付けた私にいたずらっ子みたいな笑顔を見せて、レンは私の胸元に手を伸ばす。
こ、こんなところでっ、何するつもり。
期待と不安が入り交じった心で身を固くしたけれど、眉の端を上げてレンは離れていく。
「じゃあな」
一体、何だったの!?
次々と誘われて別の男性と踊っている間も、私の頭の中はレンでいっぱいだった。何だか悔しい。
……一息ついて気づいた。
ドレスの胸元に、紙切れが挟まれている。