第2章 彼との出会い
それから1週間は、まさに夢みたいだった。
こんなに楽しいと思ったのは初めてかもしれない。
レンは私の知らない場所の話をしてくれて、馬たちの世話も手伝ってくれた。
身に付けているものは明らかに高価なものなのに、それらが汚れることを気にする様子もなく私と一緒に泥まみれになって働いてくれた。
そうして毎日、私の料理を美味しいと残さず食べてくれた。
……だけど馬が元気になると、「またね、ユイカ」と振り返ることもなく帰っていった。
またね、なんてあるのかな。
彼とは身分が違うことは明らかだ。
彼が私に手を出さなかったことは幸運なのかもしれない。
もしも手を出されていたら、私はきっと拒めなかったから。
……私はまた、いつもの日々に戻った。