第6章 再会
女性が一番に踊る相手は必ず一番気に入った人。
そう決まっているわが国で、今ダンスホールに揺れる影は夫婦のもののみ。
「さぁ、姫」
差し出された手をためらいなく掴む。
牧場で涙を堪えて彼の背中を見つめていた。
私とは身分の違う人だと思っていた。
少しは近づけたの……?
私は彼の隣にいてもいい女性になれたの……?
レンの肩ごしにリオンが心配そうな表情で私を見ているのが目に入る。
大丈夫だよ、リオン。
「貴方は呑み込みが早い……ダンス以外は」とリオン言わせた苦手のダンス。
それでもあんなに練習したんだもの。
それに、今私の手を握っているのはレンなんだもの。
照明が明るくなり、小気味のいい音楽が流れだした。合わせてステップを踏むと、どうしてだろう、すごく身体が軽い。
レンはごく自然に私をリードしていく。
この人……上手い。