第6章 再会
支度を終えた私は父に手を引かれ、階段の上からゆっくりと歩を進めてパーティー会場へ登場した。
頬が引きつりそうな緊張の中、微笑を絶やさないように意識する。
数歩後ろに恭しく付き添うリオンは、どんな時も私に安心をくれる。
父は驚くほど優しい笑顔で私を見ていた。
『あまりの愛しさに今まで隠してきたが、年頃になったので仕方なく結婚相手を探すことにした』
これが私が今まで誰にも紹介されなかった理由である。
一度だけ父……国王に、母のどこが良かったのかと尋ねたことがある。
「一目で心を奪われるほどに美しかった。ただそれだけだ」
そう答えた父は、母を愛していたのだろうか。
母は、父を愛していたのだろうか。
父が私のことを愛しいだなんて……本当はあるはずがないのに。
次から次へと挨拶に来る正装の男性たちに笑顔を向けながら、頭は冷静にリオンに教わったことを思い出す。
テーブルマナーも、姫としての振る舞いも完璧なはず。
うん、大丈夫。
その時国王が、ひときわ大きな声で私を呼んだ。